【税務】事前確認制度(APA)に関するガイダンスノート

12 June 2013
NNA インド版
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第26回

2012年7月1日より、インドにおいても移転価格税制における事前確認制度(Advance Pricing Agreements—APA)が導入されました。APAは納税企業(Tax Payer)と直接税中央委員会(CBDT)が国際取引に関わる独立企業間価格(Arm’s Length Price-ALP)・ALPの算定方法、もしくはその双方を事前に確認し合意する制度です。直接税中央委員会は8月30日付で通達:No.36/2012を公布し、細則及び申請に関する様式を発表しています。

APAの導入は、予測可能性の確保、二重課税の排除、文書化の事務負担の軽減などの観点から活用方法が注目されています。今般、納税企業向けに、APAの包括的な指針として事前確認制度に関するガイダンス(“Advance Pricing Agreement Guidance with FAQs”)が発表されました。

 

ガイダンスは事前確認制度の詳細とFAQの構成になっており、FAQの主要ポイントは下記の通りです。

 

・納税企業は一つの申請の中で、税務当局担当官(Competent Authority)に対して、一つの取引に対してユニラテラルAPAを申請し、その他の取引に対してバイラテラルAPAを申請することも可能です。

・APAの各申請プロセスにおいては、特定のスケジュールは設けられていませんが、納税企業は税務当局との事前相談の際に協議することも可能です。

・事前相談はAPA申請前に必ず行わなければなりません。事前相談終了時の合意事項は納税企業に書面によって通達されます。また、それらは正式なAPA申請書の一部として提出する必要があります。

・納税企業はインドと租税条約を締結する締約国のうち、租税条約中に対応的調整(例:OECDモデル条約9条2項)の規定を含まない締約国とのバイラテラルAPAを申請することはできません。しかしながら、納税企業はそのような場合ユニラテラルAPAを申請することは可能です。

・マルチラテラルAPA申請の際、一つもしくは複数の国との協議が合意に至らなかった場合、納税企業はそれらの国を除くマルチラテラルAPAもしくは、ユニラテラルAPAの申請を選択することが可能です。

・納税企業の抱える、係争中もしくは過去の相互協議/国内の係争案件については、APA申請の際に考慮されるべき要素の一つですが、取引に関わる事実が異なるということであれば、必ずしも過去と同様の位置づけで申請しなければならないという訳ではありません。審査当局は申請情報を基に新たに審査を行います。

・ユニラテラルAPAの場合、APA申請書は合意の草案がインド所得税局長官(Director General of Income Tax-DGIT)から直接税中央委員会へ送付される前、バイラテラル・マルチラテラルAPAの場合には二国間協議の合意が税務当局担当官から直接税中央委員会へ送付される前に改訂することが可能です。加えて、ユニラテラルAPAは最終の合意の詳細が決定される前であれば、バイラテラル・マルチラテラルAPAに変更することも可能です。

・APA締結後は、納税企業のAPA対象取引については上限を3%とする独立企業間価格の許容価格範囲は適用されません。

・申請費用は、APA対象期間の国際取引額に基づいて決定されます。一つの国際取引がその他多くの相互に関連した国際取引と不可分であり、個別に評価不可能な場合には、全ての国際取引をAPAの対象として協議し、それに基づいた申請費用が必要となります。

・インド所得税法に基づき直接税中央委員会は、締結されたAPAを取り消すことができますが、納税企業はその決定に対し不服を申し立てることはできません。しかしながら、納税企業は直接税中央委員会の決定に対して高等裁判所もしくは最高裁判所に提訴することができます。

 

APAについては、合意締結までに2年ほどかかり、専門家に対するコストもかかることから、移転価格リスクとコンプライアンスコストを比較した際にコストを上回るベネフィットが得られると判断される国外関連取引に対して選択し、その他の取引については文書化で対応することが一般的と考えられます。