インドの移転価格税制の状況及び株式の譲渡に係る移転価格

WSJ Japanese
ノキア、インド税務当局に苦情申し立て
2013 年 2 月 12日
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 

 【ストックホルム】フィンランドの携帯電話機大手ノキアは12日、インド税務当局が1月に理由なくチェンナイ工場の強制捜索を実施したことに書面で苦情を申し立てたと明らかにした。この捜索の違法性を指摘している。

 ノキアは、強制捜索が「インド国内法や国際的な規範にそぐわない」と述べ、「行き過ぎかつ容認不可能な上、インドの公正・統治基準に矛盾する」と主張した。

 インド税務当局はコメントの要請に応じていない。

 ノキアは、メディアで取り上げられた匿名税務官の話を基に、インドで生産された端末にソフトウエアを供給したフィンランドの親会社への支払いで税金の扱いが問題視されたようだと述べた。だが、国内法に加え、フィンランドとインドが結んでいる二国間租税条約を順守していると強調した。

 同社の移転価格に関する方針は「インドおよびフィンランドで適用される法律に完全に従っている」という。

 チェンナイ工場は、ノキアにとってインドの主要生産拠点の1つ。この工場では、新興国市場の消費者を狙った「アシャ」など20機種以上が生産されている。

 英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルへの課税やノキアに対する税務当局の対応で、成長著しいインドへの投資をもくろむ外国企業の間には不安感が広がっている。

 英携帯電話サービス大手ボーダフォンは、2007年に香港の和記黄埔(ハチソンワンポア)(0013.HK)のインド部門過半数株を取得した取引で、インド当局から20億ドル余りの税金の支払いを求められている。また別件で、インド子会社がモーリシャスにある関連会社に新株を発行した際、その価値を約130億ルピー(約230億円)低く設定した疑いも持たれている。

 

 

弊所コメント

近年、中国の景気の後退及び人件費の上昇から、次なる新興国であるインド、その他アジア諸国への進出が目立っています。特にインドにおいては、人口も多く、市場としても魅力的であるため、子会社の設立が多くなっているように思われます。

 

移転価格の観点からは、近年インドにおいても本格的な移転価格税制が導入されておりますが、まだ移転価格の歴史が浅いことから、現場の税務調査官の知識も十分とは言えず、多少理論的におかしな課税も散見されます。

 

特に新興国においては、違法な課税も目立つため、調査対応にあたっては、調査官の脅しにのらず、理論的に議論をし、仮に違法な課税をするようであれば、税務訴訟も辞さない態度で臨むべきと思われます。

 

また、近年、新興国への進出にあたっては、現地の会社法上、いったん合弁形態で子会社を設立し、その後株式の譲渡をされる会社も増えています。移転価格税制は、親子間でほぼ全ての取引が課税対象になり、親子間での株式の譲渡についても例外ではありません。近年中国などは、株式の譲渡等についても重点調査項目の一つにあげているため、移転価格税制に即した価格設定を行っていくことが重要であると考えられます。