インドにおける移転価格課税の重点対象業種 ‐IT企業への課税‐

ロイター:日本語ニュース

 

インド税務当局、多国籍企業の節税への監視を強める IT産業などが調査対象に

Monday, February 18, 2013 12:48 AM GMT 

 [ムンバイ 18日 ロイター] インド政府が財政赤字の抑制に努める中で、インドの税務当局は多国籍企業の節税策に監視の目を強めており、情報技術(IT)や事務管理部門が主な調査対象になっている。複数の税務当局者が明らかにした。
 当局が問題にしているのは多国籍企業内で仕入れ価格などを操作して節税を図る「移転価格」と呼ばれる慣行。数年前から税務監査の対象となっているが、この1年間で調査範囲が広がったという。

 当局者によると、現在調査が進められているのは30社以上で、2億5000万ルピー(470万ドル)以上の取引が主な対象。既に2009年3月までの会計年度分については納税請求が行われており、焦点は09/10年度分に移った。

 昨年8月の報告によると、インドでは2011年2月時点で移転価格をめぐって少なくとも1500件の訴訟が起きていた。こうした訴訟は米国では6件未満、台湾とシンガポールでは起きていない。

 英・オランダ系メジャー(国際石油資本)のロイヤル・ダッチ・シェル
は今月、インド子会社の株式8億7000万株を親会社に1株当たり10ルピーで移転したことについて、インドの税務当局が1株当たり183ルピー換算での納税を求めたのは税法の解釈を誤っているとして異議を申し立てると表明した。

 インド税務当局の訴訟関連の資料によると、このほか韓国のLG電子、シンガポールの不動産グループのアセンダス、フランスのITサービス会社のキャップジェミニ 、英菓子大手キャドバリーなどの多国籍企業が移転価格の扱いをめぐってインドで
訴訟となっている。

 税務当局者によると、ITとビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の両セクターでは多くの企業がインドのコストの低さを巧みに利用しているとみられる。当局者の1人によると、こうしたセクターは08/09年度の移転価格絡みの納税請求全体の半分以上を占め、それまでの3分の1程度から比率が上がったとみられている。

 

弊所コメント:

インドにおいては、英語を使用言語とできる優秀なITエンジニアが多いことから、特にIT産業においてインド子会社を設立する会社が多いように思われます。

 

近年、インドに限った話ではありませんが、大手IT企業を中心に移転価格の理論に基づいて節税を目的とした組織再編を行う例が目立っています。通常、製造業などの場合、機能の移転は製造設備の移設など、大掛かりで多額の投資も必要となりますが、IT産業においては比較的そのような設備投資が軽い面もあり、重要な機能を低税率国に移して節税を行う企業が多いことからも、課税の対象となりやすい面もあるように思われます。

 

移転価格税務調査・課税にあたっては、調査対象企業の活動内容や、属する産業の経済状況から、あるべき所得水準を検証していくこととなります。各企業によって、活動内容は異なるものの、同じ業種であれば比較的似た活動内容、産業状況となってくるため、ある程度業種を絞って調査を進めた方が、税務当局としても効率的な面があります。これは国を問わず見られる傾向であり、中国なども、重点調査対象業種を公表してます。

 

日本においても、新聞報道などで同業者が移転価格課税を受けた場合には、同様の手法で課税処理される可能性もあるため、特に自社の移転価格整備がされておらず、同業の課税が見られるような場合には注意が必要かと思われます。