インドネシア、日本車、3つの影、通貨安・コスト高・金利上昇。

2013/11/12 日本経済新聞 朝刊

 【ジャカルタ=渡辺禎央】インドネシアで、日本の自動車メーカーに「三つの影」が差している。通貨ルピア安とコスト・金利の上昇で、トヨタ自動車など各社は一斉に値上げ。一方で長期返済ローンを拡充するなど消費者のつなぎ留めに躍起だ。新車販売台数はまだ高水準だが、今後影響が出てくる可能性がある。


 トヨタやダイハツ工業は10月、主力車種の1億5千万ルピア(約130万円)前後のミニバンなど、現地生産車の大半で約200万ルピアの値上げに踏み切った。スズキは100万~300万ルピア程度、ホンダや日産自動車も200万~1千万ルピア値上げした。


 今年半ばまでは販売増を狙った値引きが普通だったが、その後のルピア安加速で状況は一変。現在は1ドル=1万1000ルピア前後と年初から10%以上下落しており、部材や完成車の輸入価格を押し上げている。コスト面では6月のガソリン・軽油値上げで「(輸送費が膨らむため)地方での車の売価は工場がある首都圏より1千万ルピア近く高くなる」(スズキ)。


 労働争議の激化で、ジャカルタ周辺の最低賃金が前年比4~6割上昇、メーカーの人件費も押し上げた。トヨタやダイハツが製造・販売で組む複合企業アストラ・インターナショナルは自動車事業で1~6月の販売台数が前年同期比6%増えたにもかかわらず、人件費や販管費の負担増などから純利益は10%減った。


 さらに逆風となるのが金利の上昇だ。通貨防衛のため中央銀行は9月まで4カ月連続で利上げしたため、自動車ローンの金利は現在年5~8%程度と「この数カ月だけで1~2%上がった」(ノンバンク幹部)。


 販売への悪影響を抑えようと、アストラ系の販売金融会社は低価格エコカー政策の適合車向けに、最長5年で毎月の返済が邦貨換算で1万円強で済む自動車ローンの提供を開始。大手銀行BII系の金融会社は返済期間が国内最長の7年物ローンを始め、最初の6カ月の利子を0%にするなどの仕組みも導入した。


 インドネシアの新車販売はここ数年増加を続け、2012年は前年比25%増の約112万台で過去最高を更新した。今年も9月までの段階では好調で「通年の販売は昨年を上回る可能性がある」(業界団体首脳)。それでも値上げや金利の上昇のほか、インドネシア経済全体が減速。販売環境は悪化している。

弊社コメント

 移転価格の分析においては、海外子会社が適正な利益水準を計上しているかを検証するため、類似の独立企業との比較分析を行います。

 

 為替の変動や金利等を含めた市場の状況、現地の人件費水準などは、利益水準に影響を与えるため、移転価格の検証においてはこれらの影響を加味する必要があります。

 

 現行の移転価格税制上は、こうした市場等の要因を加味するために、同市場に属する独立企業の利益水準との比較分析を行うことで、計算に反映させることが求められています。しかし、実務においては、こうした「同市場に属する類似の独立企業」が存在しない又はそうした企業の財務データを入手できない場合が多いのも実情です。

 

 こうした場合、多少異なる市場に属する独立企業の利益水準をもとに調整計算を加えることなく移転価格検証が行われると、人件費の違いにより生じる利益率の差異(ロケーションセイビング)の問題や、市場の需給関係の違いにより生じる利益率の差異(マーケットプレミアム)の問題が生じ、これらの差異によって生じた利益の帰属をどうするかということが国際的にも議論となっています。