オーストラリアの移転価格税制改正の状況

【税務会計講座】移転価格税制の大改正
2013 年 2 月 28 日
NNA-オーストラリア版
DAINAA
日本語
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第401回

■Subdivision 815—B

Subdivision 815—Bは、異なる企業間(関連者間及び非関連者間)のアームスレングスベースで行われていない全てのクロスボーダー取引に適用される。

更に、Subdivision 815—Bは、Division 13やSubdivision 815—Aと異なり、自己申告ベースでの運用が意図されており、当該条文を適用する前に税務当局が正式の判定を行うことは要求されていない。

Subdivision 815—Bは、クロスボーダー取引からオーストラリアにもたらされる税額がオーストラリアの事業から生じるアームスレングスな貢献を反映することを確実にすることに基づいている。

Subdivision 815—Bの運用に当っては、二つの重要なコンセプトがある。

1)ある納税者が移転価格ベネフィットを得ているかどうかの判定、この判定は商業上又は財務上の関係があるところの企業間で行われているクロスボーダー条件の分析に基づく

2)ある納税者が移転価格ベネフィットを得ているかどうかの判定に於いて実際の条件をアームスレングスの条件に置き換えること、及び当該納税者が移転価格ベネフィットを得ている場合の置き換えによる影響額

 

■アームスレングスの条件

アームスレングスの条件(arm’s length conditions)とは、比較可能な環境下に於いてお互いに完全に独立して行動する企業間で取り行われるであろうと推定される条件のことである。

Subdivision 815—Bのアームスレングスの条件のコンセプトは、クロスボーダー取引の性質を分析して移転価格ベネフィットが生じているかどうかを判定する場合に密接に関連する。例えば、実際の取引の契約の諸条件を、お互いに独立して行動する企業間の取引で提示されるであろう諸条件と比較する場合である。

アームスレングスの条件は、企業間の商業上又は財務上の関係の全体を反映したものでなければならず、更に遂行している機能、使用資産及びリスク負担を分析して判断しなければならない。

商業上又は財務上の関係(commercial or financial relations)のコンセプトは、企業を取り巻く経済及び商業上の環境、及び当該オーストラリア企業に関連する多国籍企業のバリューチェーンの経済的に重要な諸要素の評価を考慮した幅広いものである。このコンセプトは、更に、法的に強制力が有るかどうかに係らず当該企業間に存在するあらゆる関係及び取引、戦略及び全体的な利益水準を検討しなければならない。

アームスレングスの条件を特定するに当り、何が実際に行われたのかの経済的実体に注目しなければならない。経済的実体が法的形式と一致しない場合には、経済的実体によってアームスレングスの条件を判断する。

 

■移転価格ベネフィット

概して、納税者は、締結した取引の実際の条件とアームスレングスの条件との間に差異が存在する場合に移転価格ベネフィットを得る。そして、もしアームスレングスの条件が適用されていたとすれば:

・当該年度の納税者の課税所得の金額が増加する、

・当該年度の納税者の損失の金額が減少する、又は

・当該年度の納税者の税額控除の金額が減少する。

ある年度に、納税者が移転価格ベネフィットを得た場合、実際の条件はアームスレングスの条件に置き換えられる。