オーストラリアにおける恒久的施設(PE)と移転価格税制

【税務会計講座】移転価格税制の大改正(4)
2013 年 3 月 7 日
NNA-オーストラリア版
DAINAA
日本語
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第402回

■Subdivision 815—C

Subdivision 815—Cは、移転価格規定の恒久的施設(PE)への適用であるが、多くの点でSubdivision 815—Bの規定と同様である。例えば、Subdivision 815—Cの運用に当っては、Subdivision 815—Bと同様に二つの重要なコンセプトがある。

1)ある納税者が移転価格ベネフィットを得ているかどうかの判定

2)ある納税者が移転価格ベネフィットを得ているかどうかの判定に於いて実際の利益をアームスレングスの利益に置き換えること、及び当該納税者が移転価格ベネフィットを得ている場合に置き換えによる影響額又、Subdivision 815—Bと同様に、Subdivision 815—Cは自己申告ベースでの運用が意図されている。

 

しかし乍、Subdivision 815—CとSubdivision 815—Bには重要な相違点がある。恒久的施設への利益の帰属について、今回のEDは単一企業体(single entity)アプローチに固執している。(即ち、実際の費用と収益を配分する)しかし乍、2010年OECDモデルは機能上の独立企業体(functionally separate entity)アプローチを採用しており、税制審議会(Board of Taxation)もOECDのアプローチを支持している。

 

■Subdivision 815—D

Subdivision 815—D記録保持の要求事項(record keeping requirements)は、強制ではなく選択性である。しかし乍、この要求事項を遵守しない場合には、ペナルティの適用に於いて合理的に論証可能な立場(reasonably arguable position, RAP)を取れず、多額のペナルティに直面するリスクを負うこととなる。

 

RAPに該当すればペナルティは追加税額の10%であるが、RAPに該当しなければ最小のペナルティは追加税額の25%である。尚、追加税額が1万ドル又は年度の総税額の1%以下の場合にはペナルティは発生しない適用最小限の規定(de minimis rule)も導入される。

Subdivision 815—Dの記録保持の要求事項には下記が含まれる。

 

・申告書提出の前に英語(又は直ちに提出及び翻訳が可能)で作成

・Subdivision 815—Bの当該企業への適用(又は非適用)方法の説明

・Subdivision 815—Bの当該企業への適用方法がOECD 2010年移転価格ガイドラインに合致していることの説明

・実際の条件とアームスレングスの条件の特定

・アームスレングスの条件の特定に関連して使用する方法及び比較可能な環境の詳細

・実際の条件に代替してアームスレングスの条件を適用した場合の、課税所得、損失、税額控除の額の増減額

 

Subdivision 815—Cの適用の場合の記録保持の要求事項も同様である。

納税者は、単に価格や収益性の要素だけでなく、取極めの性質を広範に分析して防御に資する移転価格の文書化を行わなければならない。もし提案されている改正が成立した場合、納税者は記録保持の要求事項を注意深く実施しなければならない。特に、財務上の取極め、事業再編、低収益事業についてそうである。

 

■更正の期限

現行の移転価格税制では、更正について無期限に遡ることが出来るが、改正案は遡及を8年に制限している。しかし、8年は企業にとって大きなリスクである(法案では8年は7年に短縮された)。

 

NNA Japan Co., Ltd.

文書 DAINAA0020130306e9370000h