コカコーラ、利益操作を否定:「コスト高く、黒字出ず」

14 June 2013
NNA - インドシナ版
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米飲料大手コカ・コーラはこのほど、移転価格操作により法人税を免れているとの批判から不買運動にまで発展していることについて、「ベトナム事業のコストが高いため利益は出ていない」と主張し、疑惑を否定した。専門家は、外資系企業を中心に同様の批判が相次いでいることについて、「会計処理について合理的な説明ができるよう文書化が必要」と指摘している。

コカ・コーラ・ベトナム(ホーチミン市)は1994年の設立以降、赤字決算を続けており、20年近く法人税を支払っていない。このため昨年以降、国内メディアでは「移転価格操作による偽装赤字」批判が上がっていた。これに対して米国本社のアイリアル・フィナン副会長は6日、ベトナム国内で記者会見を開催。移転価格操作の疑いに対して、コカ・コーラとしての初の公式見解を発表した。

 

ベトナムネットなどによれば、フィナン副会長は法人税を納めていない理由を、「単純に利益を出していないから」と弁明。また赤字決算を続けながら昨年10月に3億米ドル(約283億円)の追加投資を決めたことについて、「長期的な利益を得るため」とした上で、「赤字決算を25年間続けてようやく大成功を収めた現地法人もある」と理解を求めた。

 

■費用は「米国並み」

フィナン副会長の説明に納得がいかない地元メディアからは、「各種の投資優遇策があり、人件費も安いベトナムで、資金力豊富なコカ・コーラが長期間にわたって利益を出していないのは不自然」との指摘があった。しかしフィナン副会長は、人件費は他国より安いが総コストは全く変わらないと反論。「ベトナムで工場1カ所の設立にかかる費用は、米国とほとんど同じ」と述べた。また生産性については、ベトナムは米国をはるかに下回るため、採算性を悪化させていると明かした。

 

コカ・コーラ・ベトナムの2010年の売上高は2兆7,170億ドン(1億3,000万米ドル)に上る一方で、1,880億ドンの赤字を計上。累積赤字は3兆7,680億ドンに膨らんでおり、初期投資額の2兆9,500億ドンを大きく超過している。

巨額の売り上げを計上しながら赤字決算を続けるコカ・コーラに対して、ベトナム国内では批判が噴出している。昨年10月には、中部ダナン市人民委員会が、同社の工場用地拡張申請を却下。12月には税務総局が同社に対して査察を計画していることが明らかになっている。また交流サイト(SNS)「フェイスブック」上ではコカ・コーラ製品の不買を呼び掛けるサイトが立ち上がっている。

 

■監視強化、企業も要対応

 

2011年に税務総局が摘発した移転価格操作による偽装赤字の総額は4兆4,000億ドン。前年比で2.5倍に上っている。昨年以降はコカ・コーラのほか、飲料メーカーのペプシコ、スポーツ用品アディダス、スーパーのビッグCやメトロ・キャッシュ・アンド・キャリー(MCC)と外資系企業に次々と疑惑の目が向けられてきた。在ベトナム米国商工会議所(AmCham)のアダム・シトコフ事務局長は、「外資だけを標的にするべきでない」と異を唱えている。

 

KPMG・ベトナムの谷中靖久公認会計士はNNAに対し、「税務当局による監視強化の動きの背景には、ベトナムに継続的に投資を実施し事業拡大をしているにもかかわらず、親会社へのロイヤルティーやマネジメントフィーの支払いなどが理由で課税所得が発生していないようにみえる企業が存在すること、また不況による歳入確保の困難性といった理由がある。企業としては、継続的な赤字を計上している点や親会社、グループ会社への支払いについて分析を実施し、その合理性を検証して文書化することが必要」と解説する。

 

また海外での広報対応に詳しい共同ピーアールのPRコンサルタント、高橋眞人氏は、「地元メディアから誤解に基づく報道をされた場合には、メディアとの溝を埋めるための積極的な情報発信が必要。さらに平常時から、企業の社会的責任(CSR)活動の機会などを活用して記者と個人的な信頼関係を構築しておくと有効」と述べている。