ネット配信、海外発も課税、書籍・音楽の消費税、政府税調、議論再開へ。

2013/09/24 日本経済新聞 朝刊 3ページ

 

競争 国内と公平に


 政府は今秋、海外から電子書籍や音楽などを日本の消費者にインターネットで配信するサービスに消費税を課す検討を政府税制調査会(首相の諮問機関)で再開する。現在は国内企業は課税、外国企業は非課税で、国内企業が不利な立場にある。消費税法などを改正して外国企業からも消費税を徴収することで、競争条件をそろえる。


 外国企業の課税逃れを防ぐ制度設計が課題で、課税開始は2015年度以降となる見通しだ。


 日本の消費税は現在、国内での取引とモノの輸入を対象にしている。外国企業が海外にあるサーバーから音楽や書籍などを日本にネット配信する場合、国外での取引と見なされ、課税されない。米アマゾン・ドット・コムはネット書店「キンドルストア」で日本語の電子書籍を日本の消費者に販売しているが、消費税は払っていない。


 国内企業が配信する場合は必ず課税されるため、不満が高まっている。国内出版業界の9団体は8月、海外からの電子書籍の配信に課税を求める要望書を政府に提出。紀伊国屋書店など13社も8月、平等な課税を求める声明文を発表した。


 財務省は12年度に有識者による研究会を立ち上げて海外からのネット配信への消費課税について議論したが、政権交代などの影響で結論は出なかった。しかし、消費税率は現行の5%から14年4月に8%、15年10月に10%に上がる予定。政府は外国企業が非課税のままだと、国内企業が一段と不利になると判断した。


 日本の消費者に電子書籍などをネット配信した場合は企業やサーバーの所在地に関係なく、消費税を課す方式に改める見通し。実現には消費税法などの改正が必要だ。


 政府税調は10月上旬に開く総会で、海外からのネット配信など国際課税について議論する。その後、課税のための具体的な制度設計に取り組む。ネット配信への課税は経済産業省が14年度の税制改正で要望しており、与党の税制調査会でも並行して話し合う。


 制度設計には時間がかかりそうだ。日本に拠点がない海外企業は日本の税務当局がネット配信の金額などの情報を把握しにくく、適正に納税しているかを確認するのが難しい。国内の消費者に電子書籍などを配信する外国企業に登録制度を導入して情報を把握する案が有力だが、登録を強制することは困難だ。


 日本が各国と結ぶ租税条約の多くが消費税を対象としていないため、海外の税務当局と連携して消費税を徴収するには条約改正が必要となる。


 欧州連合(EU)各国は電子書籍などの域外からのネット配信に対し、日本の消費税に当たる付加価値税(VAT)を課している。


 国境を越えてネットで配信される電子書籍などの関税に関しては、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加国はゼロにすることで一致済みだ。