パナソニック 100億円申告漏れ 海外子会社取引で寄附金課税

毎日新聞 2014年05月15日

 

◇大阪国税局の税務調査で指摘

 

 大手家電メーカーのパナソニック(大阪府門真市)が大阪国税局の税務調査を受け、2013年3月期までの2年間で約100億円の申告漏れを指摘されたことが関係者への取材で分かった。主に海外子会社との取引を巡るもので、約3000万円は悪質な所得隠しと認定された。赤字との相殺で、約2億円を追徴課税(更正処分)されたとみられる。

 

 関係者によると、パナソニックは複数の海外子会社に無償で人材を手当てしたり、技術面で支援したりしていた。国税局は、この人的・技術的な支援について、本来は子会社側から費用を受け取る必要があると指摘。無償支援は子会社への実質的な「寄付金」に当たり、課税対象になると認定した。

 

 約100億円とされた申告漏れの大半は、こうした海外の子会社への支援を巡る指摘とみられ、国税局は過少申告加算税を追徴課税した模様だ。

 また、約3000万円については、仮装・隠蔽(いんぺい)を伴う悪質な所得隠しと判断した。海外事業に絡み、本来は経費にならない費目や領収書がないものを控除し、所得を意図的に圧縮した疑いがあり、重加算税の対象になったという。

 

 ただ、過去の赤字と課税所得の大半を相殺できる税務上の規定があり、今回の追徴課税額は約2億円にとどまったとみられる。

 パナソニックを巡っては、国税局が11年3月期までの7年間で、部品を不当に安く売ったなどとして、海外子会社との取引を「寄付金」と認定、計約340億円の申告漏れを指摘した。

 パナソニックは13年3月期までの2年間で計1兆5200億円を超す赤字を計上したが、14年3月期連結決算は売上高約7兆7365億円、最終損益が約1204億円の3期ぶりの黒字となった。

 パナソニック広報グループは今回の追徴課税について「国税当局と見解の相違はあるが、指摘に従い適切に対処する」としている。

 

コメント:近年の課税の傾向として、赤字の海外子会社等との取引について、海外子会社のための財務支援を目的として対価を取っていない場合や、海外子会社に有利な価格設定を行っている場合に、それを「寄附金」として課税するケースが非常に多くなっています。

 

 海外子会社が債務超過等に陥っている場合などでは、無理に対価を取ってしまうと子会社が倒産し、親会社にとってもデメリットとなることから、法人税法上、そうした場合に対価を取らないことは寄附金にはあたらないものとして容認しています。しかし、この規定が調査実務において認められるのは、本当に海外子会社が倒産寸前の状態又は債務超過になっており、客観的に見て明らかに倒産寸前の状態でなければ認められる可能性は低いようです。

 

 移転価格税制と寄附金課税は表裏一体であり、グループ間取引について取引価格の設定ルールを整備し、こうした多額の課税を受けないように事前の対策を取ることが重要であると考えられます。