フィリピンの移転価格税制に関する通達の発表

2013 年 2 月 27 日
NNA - フィリピン版
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第298回

Q.最近フィリピンで移転価格税制についての税務通達が発表されたと聞きましたが、内容はどのようなものなのでしょうか?

 

A.今回以降は、このほど正式に発表された税務規則(Revenue Regulation=RR)2-2013に沿って、フィリピンにおける移転価格税制の施行について解説し、留意点をみていきたいと思います。

まず、当該規則の全文においては、移転価格税制導入の背景(Back Ground)について以下のように述べています。

 

◆国際間取引が増大する一方で、移転価格の操作により国家の税収に大きな損害を与える取引も増えている

 

◆移転価格は、一般的には関係当事者間の国際間取引において高税率国と低税率国の間で発生するものであるが、フィリピンでは関連当事者間の取引が増えているにも関わらず、税収が低下している。関連当事者間取引では、個々の企業の損益よりもグループ全体の損益を重視して税法上の欠陥をついて租税回避行為を行っている

 

◆通常、移転価格税制は国際間取引において発生するものであるが、異なった税制間、特に一般税制と優遇税制にある企業間取引においても発生する可能性がある。特にフィリピンには、フィリピン経済区庁(PEZA)および投資委員会(BOI)による優遇税制があり、グループ企業間において、費用がPEZA・BOI登録企業から一般企業に付け替えられたり、一方で収益が一般企業からPEZA・BOI登録企業に付け替えられたりする場合においても発生する

さて、このBack Groundで注意を引くのは、一般的な移転価格税制の適用というと国際間取引が多いのですが、フィリピンでは、PEZA・BOI登録企業と一般企業の取引についても触れている点です。共にフィリピンの税制下にある、優遇税制下の企業と一般企業間取引の調査に関しては、国際間取引を調査する場合に比べてはるかに徴税に関する時間や手間が少なくなりますので、まずはこの分野から移転価格税制の適用が手掛けられる可能性もあります。

一般的に日系企業においては、PEZA登録企業と一般企業が恒常的に取引を行なう可能性は少ないのですが、他方で考えられる組み合わせとしては、PEZAの優遇税制下の企業(例:所得税免税期間企業、5%総所得(Gross Income)課税企業、およびPEZA倉庫業等の一般税率企業)間の取引に関しても、グループ間企業であれば移転価格税制をベースに所得移転が発生しているとして、追徴課税等の問題が出るかもしれません(この点が移転価格税制の1つのポイントなので、今後解説します)。移転価格税制は、運用次第では税務当局に課税処分を許す、ある意味非常に危険なツールですので、注意深く対処することが必要です。

 

<回答者プロフィール>

エス・シー・エス国際会計事務所