ロケーションセイビングとマーケットプレミアムによる所得の帰属

2013年5月7日 国際企画官 三塚一彦氏 税務研究会主催セミナー より

l  近年、中国・インドを中心とした国連軍から、新興国の安価な人件費を利用することにより創出された利益(ロケーションセイビング)や活況なマーケットにおける販売量の増加により生じた利益(マーケットプレミアム)は、当該活動の所在国に帰属すべきという議論が活発化している。

 

l  移転価格の算定方法も、取引単位営業利益率法は不適切であり、寄与度利益分割法により算定すべきという意見もある。

 

l  これらの議論に対し、日本や米国等の先進国を中心としたOECD加盟国は、ロケーションセイビングやマーケットプレミアムは、同じ所在地域の比較対象を選ぶことで解決できると考えているが、選定された比較対象会社の所在国が異なる場合などで、議論が複雑化するケースが多い。

 

l  このように意見が分かれる中、昨年、インドの租税裁判(GAP社ケース)において、意外な判決が出た。同判決では、これらのロケーションセイビングやマーケットプレミアムにより生じる一時的な利益は消費者に帰属するもので、インド法人に帰属するものではないというものである。また、インド法人に帰属する利益の算定において、「マークアップのベースとなる分母には、コアの部材等に係る費用は含まず、付加価値の創出に要したコスト(人件費や減価償却費等)のみを使用すべきである」という判決がなされた。これらの判決は、インドや中国が主張する内容と相反するものであり、今後の相互協議における国家間の議論の行方が注目される。