商船三井の相互協議合意と協議対象外の寄附金課税

商船三井、子会社との取引で移転価格課税75%減額の通知「遺憾ながら受け入れ」
2013 年 2 月 6 日 Copyright 2013. IID, Inc.

 

商船三井は、日米租税条約に基づいて日米両税務当局間で協議中だった、同社と米国コンテナ・ターミナル子会社との取引についての相互協議が合意に達したと発表した。

 

商船三井は、2010年6月の東京国税局による子会社とのコンテナ荷役取引に関する移転価格課税、寄附金課税の更正処分について、日米両国の課税によって生じた二重課税の排除を求め2010年8月に国税庁に対して相互協議の申し立てを行った。

 

今回、同社は日米相互協議が移転価格課税部分については、当初の課税所得の約75%相当を日米で減額することで正式合意したとの通知を国税庁から受領した。寄附金課税部分は、相互協議対象とならなかったとの連絡も受けた。

 

同社では移転価格課税部分について「二重課税を一部残す合意は遺憾であり、本来二重課税は完全排除されるべきとの考えではあるものの、今期に過去納付した税額の一部が日米で確実に還付されるというメリットを考慮し、合意を受け入れる」としている。

 

また、協議対象外となった寄附金課税部分に関しては、現在、一旦中断している更正処分の取り消しを求める異議申し立てを再開し、同社としての主張の正当性を訴えると、している。

 

 

弊所コメント

今回の商船三井の相互協議合意のニュースについて、注目すべき点として、寄附金課税部分については相互協議の対象外とされている点です。

 

海外への所得移転について課税を受けた場合、二重課税の状態となりますので、取引相手国との租税条約に基づいて協議を行い(相互協議)、どちらかの国で税額の還付を受けることで二重課税を解消することが可能です。

 

ここで、寄附金課税については、国内法上の問題であって、両国間の租税条約に基づく協議の対象とはならないという問題があります。

 

海外子会社との取引による所得の海外への移転について、取引価格の設定の問題ととらえるか、それを利益の供与ととらえるかで、移転価格課税か寄附金課税のいずれでも課税される可能性はあるものと考えられます。この点については諸説あり、両社の線引きはグレーな面もあります。

 

上記のケースのように、相互協議の対象とならない寄附金課税や、租税条約自体の無い国との取引にかかる移転価格課税などは、相互協議による二重課税の解消ができないため、これを救済するには、その課税自体が違法であるという形で課税の取消を求めるしかありません。

 

近年、人件費が安く、人口の増加が見込まれる新興国への進出が目立ちますが、租税条約の無い国や、租税条約があっても移転価格制度の未熟な(無理な課税が目立つ)国への進出・展開にあたっては、移転価格課税を受けた場合に二重課税の解消が困難となるリスクが存在している点に留意が必要です。