移転価格課税 国税局、HOYAに追徴課税、無形資産巡り対立。

2013/07/15  日本経済新聞 朝刊

 

HOYAが6月、海外子会社との移転価格税制を巡り、東京国税局から200億円の申告漏れを指摘された。同社は「見解の相違がある」と全面的に争う姿勢。焦点になったのは海外子会社の製造技術という「無形資産」で、関係者は「多国籍企業への課税という世界的な問題を象徴する事案」と注目している。


 HOYAはHDD用ガラスディスクなどエレクトロニクス関連分野で新製品を研究開発する際に、タイやフィリピン、ベトナムなど東南アジアの100%子会社から業務委託を受け、得られた製造技術を各子会社に帰属させてきた。その技術を用いてHOYAが作った製品を販売すると、収益の一部が製造技術の使用料として、東南アジアの各子会社に支払われる。


 東京国税局は、HOYA本体が持つべき製造技術を東南アジアの子会社に移すことで、本来は日本国内で得られるはずの所得を法人税率の低い海外子会社に移し、グループ全体として課税を逃れていると判断。移転価格税制に基づいて約33億円を追徴課税した。


 これに対し、HOYAは「親子間の業務委託契約に法的な問題はなく、製造技術の使用に対する対価も適正」と反論。「依頼された技術開発は限定的で、製造技術として完成させたのはあくまで子会社」(同社関係者)として、近く国税不服審判所に異議を申し立てる。


 これまで日本企業で移転価格税制が問題になるのは、海外子会社との取引価格が適正でないと指摘されるケースが大半だった。HOYAの事案は今後争われる見通しだが、早稲田大学大学院会計研究科の青山慶二教授は「こうした無形資産を巡る移転価格税制は世界的なテーマ」と注目している。