外国税務当局との相互協議  発生・処理とも件数増加  「事前確認」8割占める

税務通信 2013年10月21日

 国税庁はこのほど、平成24事業年度(平成24年7月~25年6月)の「相互協議の状況」をまとめた。国税庁では、移転価格課税などによって国際的な二重課税が生じた場合、租税条約の規定に基づいて外国の税務当局と「相互協議」を実施し、その解決を図っている。また、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正.円滑な執行を図る観点から、事前確認についての相互協議を実施している。それによると、今年6月までの1年間に発生した事前協議事案は167件だった。このうち事前確認に関するものは131件で、全体の約8割を占めている。 

 

  相互協議事案の発生件数は平成21事業年度の183件をピークに、それ以降の2年間は減少傾向にあったが、前の年度(平成23事業年度)の143件に比べると再び増加に転じたことになる。発生件数の内訳は、「事前確認」の131件のほか、「移転価格課税」が30件、「恒久的施設」や「源泉所得税関連」の事案が6件となっている。 

 

  事案の処理件数は前の年度よりも13件増えて170件となり、年度ごとの処理件数では過去最多を更新した。処理件数が増加したことにより、相互協議事案全体の繰越件数は3年連続で減少している。処理件数を地域別にみると、「米州」が87件で最も多く、次いで「アジア.大洋州」の51件、「欧州等」の32件となっている。 

 

  1件当たりの処理に要した平均的な期間は29.3カ月で、前の年度の平均期間である25.1カ月と比べて長期化している。 

 

  「相互協議」とは、納税者が租税条約の規定に適合しない課税を受け、または受けると認められる場合に、その条約に適合しない課税を排除するため、条約締結国の税務当局間で解決を図る協議手続のこと。日本が締結している55の租税条約(平成25年6月末現在の適用対象国.地域は66カ国)すべてに、相互協議に関する規定が設けられている。 

 

  移転価格課税により国際的な二重課税が生じた場合、二国間の事前確認を納税者が求める場合などには、外国税務当局との相互協議を実施して問題の解決を図っている。 

 

  また、「事前確認」とは、納税者が税務当局に申し出た独立企業間価格の算定方法などについて、税務当局がその合理性を検証し確認を行うことをいい、納税者が確認された内容に基づいて申告している限り、移転価格課税は行われない。 

 

  相互協議を伴う事前確認は、独立企業間価格の算定方法などについて、取引の当事者を所轄する税務当局間で相互協議を行い、移転価格課税についての予測可能性を確保すると同時に二重課税のリスクを回避することを目的としている。