東エレクトロン、申告漏れ143億円指摘、税金費用24億円計上、異議申し立てへ。

2012/07/05 日本経済新聞 朝刊 15ページ

 

東京エレクトロンは4日、海外子会社との取引を巡り東京国税局から6年間で143億円の申告漏れを指摘されたと発表した。移転価格税制に基づく更正通知で、追徴課税額は地方税などを含め67億円。2012年4~6月期決算で24億円を税金費用として計上する。13年3月期通期の業績予想への影響は精査中としている。
 06年3月期からの6年間、米国と韓国にある子会社との半導体製造装置部品などの取引について、日本側の所得を過少に配分したと判断された。同社はいったん追加納税するものの、「到底納得できない」として異議を申し立てると同時に、日本が米韓両国と締結している租税条約に基づく政府間協議を申請する。
 同社は「二重課税は排除される」として、日本での追加納税額と米韓両国での還付税額との差額など計24億円を税金費用として計上する。4月に開示した13年3月期の連結業績予想は、純利益を前期比18%減の300億円としている。
 移転価格税制は、企業が海外子会社との取引で価格を通常より低くするなどして課税所得を操作するのを防ぐ制度。企業側が異議を申し立てた例では、大阪国税局から申告漏れを指摘された武田薬品工業の異議が認められ、国税局が今年4月に一部を取り消した。

 

 

代表コメント

移転価格課税は、日本の場合、過去6年間さかのぼって課税することができます。移転価格調査は数年に一度のペースで行われますが、6年以上たたなければ時効となならないため、移転価格の整備を行わないままにしておくと、課税リスクはどんどんつみあがってしまいます。

 

結果として、6年分の課税を一度に受け、多額の追徴税額という突然のキャッシュアウトを迫られれば、株価や投資の計画にも少なからず影響が出るものと思われます。

 

一方で、課税を受けた場合に相互協議の申し立てや、異議申し立てなどの制度を利用して二重課税の解消する(どちらかの国で税額の還付を受ける)ことも可能ですが、特に新興国との相互協議は合意に至ることが困難であり、異議申し立てや裁判などの国内救済措置についても勝率は10%程度と必ずしも高くはありません。

 

課税を受けた場合、純粋な税務コストとして二重課税状態のままになる可能性も否定できないため、課税を受ける前の事前の対策が重要です。