武田に571億円還付、国税局、「移転価格」異議認める。

以下、武田薬品に関する一連の記事です。

 

移転価格の処分取り消し求める、武田が審査請求書提出。

2012/04/07 日本経済新聞 朝刊 9ページ

 

武田薬品工業は6日、移転価格税制に基づき大阪国税局から受けていた追徴課税処分について、申告漏れと指摘された1223億円のうち約8割に当たる977億円を取り消す決定書を受け取ったと発表した。還付加算金を含め合計571億円が還付される見込み。移転価格税制を巡る問題では異議申し立てが受け入れられず、東京国税不服審判所の審査で還付を認められたTDKのようなケースはあるが、「異議申し立てを直接国税当局が認めるのは珍しい」(大手税理士法人)という。
 移転価格税制とは、企業が海外の子会社などとの取引を第三者との取引に比べて低い価格で取引するなどして課税所得を圧縮し、国内での納税額を減らすことを防ぐ制度。2000年代半ばからホンダやソニーなどが追徴課税される事例が相次いだ。最近も日本ガイシや島津製作所が申告漏れの指摘を受けた。
 武田は2006年6月、抗潰瘍剤「プレバシド」の米合弁会社に対する販売価格が低すぎるとして大阪国税局から571億円を追徴課税され、同年7月に全額納付。一方で異議を申し立てていた。二重課税解消の日米当局間の協議は成立しなかったが、11年11月に異議申し立てを再開した。
 今回の決定により税金費用が455億円減るほか、還付加算金を特別利益に116億円計上する。同社の13年3月期の純利益を527億円押し上げる要因になる。ただ、異議申し立ては全額は認められておらず、武田は「残りの部分は二重課税の状態にある」としている。

 

移転価格の処分取り消し求める、武田が審査請求書提出。

2012/05/08 日本経済新聞 朝刊 9ページ

 

 
 武田薬品工業は7日、大阪国税局による移転価格税制に基づく更正処分について、全額取り消しを求め大阪国税不服審判所に審査請求書を提出したと発表した。同処分を巡っては4月、処分対象となった所得額1223億円の8割にあたる977億円を取り消す決定を受けたが残りの246億円も取り消しを求める。
 移転価格税制とは、企業が海外子会社との取引を第三者より低い価格で取引して課税所得を操作することを防ぐ制度。武田は2006年6月、抗潰瘍剤「プレバシド」の米合弁会社に対する販売価格が低すぎるとして大阪国税局から571億円を追徴課税されていた。

 

代表コメント

この事案は、更正所得金額も多額であったため、各関係者の注目を集める課税事案となりました。

取引相手国である米国は、移転価格課税に係る相互協議の経験も豊富であり、相互協議が決裂するケースはあまり多くありません。

 

今回のケースでは、おそらく相互協議において米国側も日本側も課税が不適切であったことを認め、協議は不成立となり、税務当局も異議申し立てを認めたのではないかと見ています。

 

近年、移転価格課税に対する国内救済措置(異議申し立て、審査請求、裁判)で納税者側が勝利するケースがフォーカスされていますが、全体の中で納税者が勝利する確立は10%程度であり、また裁判等においては大量の資料提出など、納税者側の負担もかなりのものとなります。

 

課税を受けても取り返すことができると考えるのは、あまりに危険であり、課税を受けない努力を怠らないようにすることが重要です。