経営士の提言/移転価格税制への認識と対応

26 September 2013 日刊工業新聞

 

企業活動の国際化に伴い、中堅・中小企業も海外に子会社を設置するケースが増えてきている。これにより企業は国内事業とは異なるさまざまなリスクに直面することになる。移転価格税制などの税務リスクも海外展開を進める企業にとって無視できないものとなってきている。

 

例えば、日本国内にある企業(日本法人)が自社の商品を通常の取引価格(「独立企業間価格」という)より安い価格で海外の子会社など関連会社に輸出すれば、国内での所得が減る一方、商品を安く仕入れた関連会社は、所得を増やす事ができる。

 

これを、国内から海外への所得移転という。法人税率の高い国から低い国に所得移転すれば、企業グループ全体で納める税金を少なくできることとなる。

 

このように、日本法人が海外子会社等関連企業との商品・サービスの取引価格を独立企業間価格より安くするなどして、企業収益が海外移転することを防ぐ制度がここにいう移転価格税制であり、日本では1986(昭和61)年に導入された。国税庁は独立企業間価格と異なる価格により当該日本法人の課税所得が減少している場合、その取引は独立企業間価格で行われたものとみなし課税所得の計算を行い追徴課税する。

 

つまり、移転価格税制は、海外の関連企業との取引を通じた所得の海外流出の防止を目的としているものである。

 

わが国の移転価格税制が適用される対象となるものは、日本法人が国外関連企業との間で行う商品・サービスなどの販売・購入、役務の提供その他の取引であり、国外関連取引は、日本法人とその国外関連企業との間の取引をいうが、国外関連企業とは当該法人との間に次の関係にある外国法人を指す。

 

(1)親子関係など=二つの法人のいずれか一方の法人が他方の法人の発行済み株式などの50%以上の株式または出資金額を直接又は間接に保有する場合

 

(2)兄弟関係など=二つの法人が同一の者によってそれぞれの発行株式などの50%以上の株式または出資金額を直接又は間接に保有される場合

 

(3)実質支配関係=役員の兼務、取引依存、資金借り入れなどにより、一方の法人が他方の法人の事業方針の全部または一部につき実質的に決定できる場合