課税「抜け穴」封じ模索 OECD行動計画、運用で利害対立も

2013/07/20  日経速報ニュース

 

【パリ=竹内康雄】グローバルに活動する企業の過度な節税を防ぐための国際的な枠組み作りが本格化する。経済協力開発機構(OECD)が19日公表した行動計画は電子商取引への課税強化などを明記。新興国も含めた課税の抜け穴封じをめざす。だがルールの運用を巡っては各国間の利害対立も予想され、実効性には課題が残る。

 OECDがまとめた行動計画は、アイルランドやオランダなど法人税率の低い国を舞台にした企業の行き過ぎた節税に国際社会が協調して歯止めをかけるのが狙いだ。このためOECDは日米欧の主要国だけでなく、中国やインドなども参加する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に行動計画を報告。新興国を含めた合意を模索する。

 米アップルや米スターバックスなどグローバルに事業を展開する企業は、法人税率の低い国の関連会社に利益を移転する手法などを使って大胆に節税している。違法ではないが、所得増税や歳出削減など国民に負担を強いる形で財政健全化を進める欧米各国から批判が高まっている。

 行動計画ではまず、こうした企業が節税に使うことが多い「移転価格税制」の国際ルール作りに乗り出す。

 節税を目的とした企業グループ間の国境を越えた特許や商標(ブランド)の売買について、共通ルールを作って各国に導入を促すのが柱。アイルランドなど低税率国の関連会社が知的財産権を管理し、特許などの使用料をこの会社に集約して納税額を抑えるグーグルなどの節税策は難しくなる可能性がある。

 こうした手法は日本の大手製薬会社なども使っており、影響が及ぶ公算が大きい。

 国境を越えた電子商取引を巡っては、いまのルールでは国内に支店や事業所などを持たない外国企業には課税できない。このため日本の消費者が米アマゾン・ドット・コムの日本語版ページから電子書籍などを購入しても消費税はかからない。企業の利益にかかる法人税の課税対象からも外れている。

 行動計画では(1)ウェブサイトなども支店とみなして法人税を課税する(2)売上高など外形標準に応じて法人税を課す(3)消費課税の国際ルールを策定する――といった手法を検討する。

 OECDは国境を越えたビジネスが広がるなか、各国の税制が「グローバルな変化から遅れている」と分析。税制の国際的な調和を促した。

 ただ移転価格税制などの運用を巡っては、企業が払う法人税を各国間で奪い合っている側面がある。そもそもOECDの勧告に強制力はない。節税の舞台となっているオランダやアイルランドはOECD加盟国だが、税制改正の結果、自国から企業が流出するような事態は避けたいとの思惑がある。

 電子商取引への課税では、米アマゾンなどを抱える米国が制度の運用で消極的な姿勢を示しかねない。新興国が先進国主導の国際ルールに従わない可能性もあり、課税の抜け穴封じがどこまで効力を発揮するかはなお不透明だ。