東京国税局による資生堂に対する移転価格課税

資生堂が38億円申告漏れ 移転価格巡り東京国税局指摘

2014/06/20 11:50  日経速報ニュース    300文字  

 

 資生堂が国内と米国子会社の取引を巡り東京国税局の税務調査を受け、移転価格税制に基づき2012年3月期までの5年間に約38億円の申告漏れを指摘されていたことが、20日分かった。過少申告加算税などを含めた追徴税額は約17億円で、既に納付した。同社は「見解に隔たりがある」と異議を申し立てる方針で、日本と米国の二重課税を避けるための相互協議も申請する。
 同社によると、17日に更正処分通知を受けた。指摘があったのは、米国子会社から化粧品を輸入し、主にアジア向けに販売していた取引。輸入価格が通常より高く、国内で課税されるべき所得を海外子会社に移して、日本での納税額が過少になっていると判断されたもようだ。

 

コメント

 本件については、米国子会社からの化粧品輸入及びアジア向けの販売に関する課税のようですが、日米相互協議を申し立てることから、米国子会社との取引価格の設定・利益配分について移転価格税制上問題があり、課税を受けたものと考えられます。

 

 大企業においては、移転価格ポリシーの構築や文書化が進んできてはいますが、取引規模の大きい子会社との取引についてのみ対応をしているケースも少なくありません。移転価格課税は、取引規模に関係なく、移転価格算定方法に沿って計算した結果と実績値にズレがあれば課税を受けてしまいます。

 

 子会社数が数十社ある大企業にとっては、全ての子会社との取引について移転価格文書を作成することも困難ではありますが、海外子会社の数が10社未満の中小・中堅企業においては、原則としてグループ全体の移転価格に関して移転価格ポリシーの構築及び文書化に対応することが望ましいものと考えられます。

 

 なお、移転価格課税の時効は6年間ですが、調査期間に半年~2年と長い期間を要することから、結果として過去5年間を課税するケースは多いように思われます。