平成28年度税制改正大綱 移転価格文書 作成義務化

【概要】

先般公表された、平成28年度税制改正大綱により、海外子会社との取引金額(受け払い合計)が有形資産取引で50億円又は無形資産取引で3億円を超える企業については、毎期確定申告書の提出期限までに移転価格文書化資料を作成・保存することが義務化されました。文書化資料の保存が無い場合、推定課税の対象となるため、文書化資料の準備が済んでない企業及び、毎期のアップデートがなされていない企業については、今後推定課税を受けるリスクが高まることとなります。

 

また、海外子会社との取引金額が50億円・3億円未満の企業についても、税務調査で求められた際に60日以内に移転価格の算定に必要な資料を提出できなければ、推定課税の対象となります。

 

さらに、連結総収入金額が1000億円を超える企業については、国別報告書及びマスターファイルの提出義務も課されることとなります。

 

【平成28年度税制改正大綱 本文(移転価格税制部分)】

(ローカルファイルについて)

三 独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)

 

1 概要

 

 国外関連取引を行った法人は、当該国外関連取引に係る独立企業間価格を算定 

 するために必要と認められる書類(電磁的記録を含む。以下『ローカルファイル」という。)を確定申告書の提出期限までに作成しなければならないこととする。

 

2 ローカルファイルの項目

 

 租税特別措置法施行規則第22条の10第1項各号に掲げる書類について記載項目の明確化等の所要の整備を行うとともに、移転価格ガイドライン改定案の別添 2に示された記載項目を当該各号に掲げる書類に追加することとする。

 

3 保存期間・保存場所等

 

 ローカルファイルは、原則として、確定申告書の提出期限の翌日から7年間、 国外関連取引を行った法人の国内事務所に保存しなければならないこととする。

 

 なお、書類の原本が国内にある場合は原本を、書類の原本が国外にある場合は写しを保存するものとする。 

 

4 同時文書化義務が免除される国外関連取引

 

 一の国外関連者との前期(前期がない場合には当期)の取引金額(受払合計) が50億円未満であり、かつ、当該一の国外関連者との前期(前期がない場合には当期)の無形資産取引金額(受払合計)が3億円未満である場合には、当該一の国外関連者との当期の国外関連取引については、ローカルファイルの確定申告書の提出期限までの作成・保存義務(以下「同時文書化義務」という。)を免除する。

  

5 文書化の担保策

 

 ローカルファイル等の提示又は提出(以下「提出等」という。)がない場合の推定課税及び同種の事業を営む者に対する質問検査(以下「同業者調査」という。)の要件を明確化する観点から、次の整備を行う。 

 

(1)同時文書化義務のある国外関連取引に係る推定課税等

 

 次に掲げる場合に該当するときは、推定課税・同業者調査を行うことができることとする。

 

 ① 同時文書化義務のある国外関連取引について、国税当局の当該職員が、ローカルファイルの提出等を求めた場合において、45日以内の期日で当該職員が指定する日までに提出等がなかったとき

  

 ② 同時文書化義務のある国外関連取引について、国税当局の当該職員が、ローカルファイルの作成の基礎となる資料及び関連する資料等の独立企業間価格を算定するために重要と認められる書類の提出等を求めた場合において、60日以内の期日で当該職員が指定する日までに提出等がなかったとき 

 

 (2)同時文書化義務のない国外関連取引に係る推定課税等

 

 同時文書化義務のない国外関連取引について、国税当局の当該職員が、ローカルファイルに相当する資料等の独立企業間価格を算定するために重要と認められる書類の提出等を求めた場合において、60日以内の期日で当該職員が指定する日までに提出等がなかったときは、推定課税・同業者調査を行うことができることとする。

  

 6 その他

 

 その他所要の措置を講ずる。
 
 

 7 外国法人の内部取引に係る課税の特例、内国法人の国外所得金額の計算の特例等の各種制度における内部取引に係る文書化制度の整備

  

 外国法人の内部取引に係る課税の特例、内国法人の国外所得金額の計算の特例、 連結法人の連結国外所得金額の計算の特例、非居住者の内部取引に係る課税の特 例及び居住者の国外所得金額の計算の特例について、上記と同様に、内部取引に 係る独立企業間価格を算定するための文書化制度の整備を行う。

 

 8 適用時期

 

 上記の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成30年分以後の所得税について適用する。

 

(国別報告書について)

国別報告事項

 

1 概要

 

 多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供義務者である法人は、当該多国籍企業グループに係る国別報告事項を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととする。

  

2 多国籍企業グループの範囲

 

 適用される会計基準において、連結財務諸表を作成すべき企業集団(その連結財務諸表における連結親会社が他の連結財務諸表における連結子会社となる企業集団を除く。)で、税務上の居住地国(恒久的施設及び外国における恒久的施設に相当するものの所在地国を含む。)が異なる2以上の事業体を含むものとする。 

 

3 構成事業体の範囲

 

(1)適用される会計基準において、連結財務諸表に財産及び損益の状況が連結して記載される事業体

  

(2)規模の重要性を理由として連結の範囲から除外される事業体

 

 4 国別報告事項の項目

 

 多国籍企業グループが事業活動を行う国ごとの収入金額、税引前当期利益の額、

 納付税額その他必要な事項とし、「BEPSプロジェクト」の勧告で示されたO

 ECD移転価格ガイドライン第5章改定案(以下「移転価格ガイドライン改定案」

 という。)の別添3に示された記載項目と同様とする。 

 

5 提供義務者

 

 国別報告事項の提供義務者は、下記(1)又は(2)に掲げる者とする。 

 

(1)多国籍企業グループの最終親事業体(構成事業体のうち、他の構成事業体を支配するものをいう。以下同じ。)又は代理親事業体(国別報告事項を提供する者として最終親事業体が指定した当該多国籍企業グループの構成事業体をいう。以下同じ。)である内国法人

 

(2)多国籍企業グループの構成事業体である内国法人(最終親事業体又は代理親事業体に該当するものを除く。以下(2)において同じ。)又は恒久的施設を有する外国法人

 

 なお、多国籍企業グループの構成事業体である内国法人及び恒久的施設を有する外国法人が複数ある場合には、これらの法人を代表する1社のみが国別報告事項を提供すれば足りることとする。 

 

 (注)上記(2)に掲げる者が提供義務者となるのは、わが国の国税当局が、多国籍企業グループの最終親事業体(代理親事業体の指定がある場合には代理 親事業体)の居住地国(わが国が締結した租税条約等の相手国に限る。)を 通じて当該多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供を受けることができないと認められる場合に限る。

  

6 提供義務者等に関する国税当局への報告義務

 

 多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供義務者等を明らかにするために、国別報告事項の提供義務者及び国内に所在する他の構成事業体の名称、所在地その他必要な事項を、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととする。

  

7 国別報告事項の提供義務の免除

 

 直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円未満の多国籍企業グループについては、国別報告事項の提供義務を免除する。 

 

8 使用言語

 

 英語とする。

  

9 提供義務の担保策

 

 国別報告事項を期限内に税務署長に提供しない場合の罰則を設ける。

  

10 適用時期

 

 上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度に係る国別報告事項について適用する。

 

(マスターファイルについて)

二 事業概況報告事項(マスターファイル)

 

1 概要

 

 多国籍企業グループに係る事業概況報告事項の提供義務者である法人は、当該多国籍企業グループに係る事業概況報告事項を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e- TaX)により、税務署長に提供しなければならないこととする。 

 

 2 多国籍企業グループの範囲

 

 適用される会計基準において、連結財務諸表を作成すべき企業集団(その連結 財務諸表における連結親会社が他の連結財務諸表における連結子会社となる企業集団を除く。)で、税務上の居住地国(恒久的施設及び外国における恒久的施設に相当するものの所在地国を含む。)が異なる2以上の事業体を含むものとする。

  

 3 構成事業体の範囲

 

 (1)適用される会計基準において、連結財務諸表に財産及び損益の状況が連結して記載される事業体

 

 (2)規模の重要性を理由として連結の範囲から除外される事業体

 

 4 事業概況報告事項の項目

 

 多国籍企業グループの組織構造、事業の概要、財務状況その他必要な事項とし、移転価格ガイドライン改定案の別添1に示された記載項目と同様とする。

 

 5 提供義務者

 

 事業概況報告事項の提供義務者は、多国籍企業グループの構成事業体である内国法人又は恒久的施設を有する外国法人とする。

 

  なお、多国籍企業グループの構成事業体である内国法人及び恒久的施設を有する外国法人が複数ある場合には、これらの法人を代表する1社のみが事業概況報告事項を提供すれば足りることとする。

  

 6 提供義務者等に関する国税当局への報告義務

 

 多国籍企業グループに係る事業概況報告事項の提供義務者等を明らかにするために、事業概況報告事項の提供義務者及び国内に所在する他の構成事業体の名称、所在地その他必要な事項を、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、税務署長に提供しなければならないこととする。

  

 7 事業概況報告事項の提供義務の免除

 

 直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円未満の多国籍企業グループについては、事業概況報告事項の提供義務を免除する。

 

 8 使用言語

 

 日本語又は英語とする。

 

 9 提供義務の担保策

 

 事業概況報告事項を期限内に税務署長に提供しない場合の罰則を設ける。

 

10適用時期

 

 上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度に係る事業概況報告事項について適用する。

 

まずは無料相談

移転価格に関するご質問、お見積など無料にてお気軽にご相談を!

上記ボタンか03-5843-8666

移転価格税制とは
移転価格ポリシー構築
移転価格文書化とは
移転価格調査対応
事前確認申請(APA)
移転価格の税務調査対応マニュアル