移転価格解説

台湾の移転価格税制

近年の動向

2022年11月29日更新

2004年に移転価格ガイドラインが導入されて以降、2005年から、移転価格の文書化資料が要求されるようになり、独立企業原則に準拠した移転価格の設定が求められている。2015年1月7日に事業再編に関する規定やAPAの申請要件の緩和、事前相談に関する規定を盛り込んだ移転価格ガイドラインの修正案を公表している。2015年3月及び2017年11月、2020年12月にも移転価格ガイドラインのアップデートが行われている。 近年では、税務当局において移転価格専門チームが組織されるなど、移転価格調査は強化される傾向にある。


基本情報

①税務当局

Ministry of Finance(MOF), National Taxation Bureau

②移転価格税制の課税の対象

一定の資本関係又は実質的な支配関係、あるいはジョイントベンチャーの関係にある者の間の取引。

③移転価格文書化義務

【ローカルファイル】

納税者は、原則としてローカルファイルの準備を行わなくてはならない。以下の基準に該当する場合には、準備義務が緩和される。

●収入金額(営業収入及び営業外収入)が300百万TWDを超えない場合

●その他一定の条件を満たす場合

提出期限等:申告期限までに準備(調査通知から1か月以内に提出)

【マスターファイル】

多国籍企業グループに属する納税者は原則としてマスターファイルの提出義務があるが、以下の場合には提出義務が免除される。

●収入金額(営業収入及び営業外収入)が30億TWD以下である場合

●国外関連者間取引の合計金額が15億TWD以下である場合

準備期限等:会計年度終了の日から12ヶ月以内

【国別報告書】

多国籍企業グループに属する納税者は原則として国別報告書の提出義務があるが、以下の場合には提出義務が免除される。

●多国籍企業グループの連結総収入金額が270億TWD以下である場合(profit-seeking enterpriseについて別途規定あり)

提出期限:会計年度終了の日から12ヶ月以内

④移転価格に関する開示義務、

一定の関連者間取引については関連者の情報等ついて、毎年5月31日までに税務申告書上で記載しなければならない。

⑤移転価格算定方法

独立価格比準法(CUP法)、原価基準法(CP法)、再販売価格基準法(RP法)、利益比準法、利益分割法、その他の方法。 算定方法間での優先順位は無くベストメソッドルールが適用される。

⑥移転価格課税の時効

原則として5年間(期限後申告になった場合などにおいては7年間)。

⑦罰則等

移転価格税制による課税の場合、最大で追徴税額の200%のペナルティーが課される。

⑧相互協議・事前確認申請(APA)相互協議の経験は無く、二重課税を解消することは困難である。

APA:移転価格ガイドラインの基準を満たせば可能

⑨使用言語

移転価格文書及びマスターファイルは原則として中国語により提出する。CbCRは中国語及び英語で提出。