シンガポールの移転価格税制

シンガポール

【近年の傾向】(2019年5月26日更新)  

シンガポール当局は、2018年2月22日に “Income Tax (Transfer Pricing Documentation) Rules 2018” (TPD Rules) を公表している。TPD Rulesは2018年2月23日 から発効となり、2019年以降について適用となっている。.

また、シンガポール当局は2018年2月23日に移転価格ガイドライン15版を公表した。変更点としては、TPD Rulesを反映させたこと事例を追加したことである。

所得税法Section 34Dにより、シンガポール当局は納税者の移転価格が独立企業間価格に反する場合に更正を行うことができるものとされている。

また、所得税法Section 34Eでは、移転価格課税に対して5%の課徴金を課すことを認めている。さらに、Section 34Fでは同時文書化について定めており、文書化規定を遵守していない場合にはペナルティを課すこととしている。

 

【基本情報】

①OECDガイドラインとの整合性

シンガポールはOECD加盟国では無いが、BEPSプロジェクトへの参加国であり、シンガポールの移転価格ガイドラインはOECDガイドラインに準拠している。 

 

②移転価格税制の課税対象

関連者間(直接・間接な支配関係のある者又は直接・間接に共通の者に支配されている者の間)で行われる取引。なお、関連者にはPEなども含まれることとなる。

 

③移転価格文書化義務(マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書)

2018年の移転価格ガイドラインにおいて、毎年の移転価格文書化が求められている。しかし、納税者のコンプライアンス義務を軽減するため、取引内容等について大きな変更が無ければ、納税者が過去に作成した文書化資料を基本資料とすることを認めている。ただし、3年に1度は全体的に移転価格文書化資料をアップデートすることを求めている。

 

原則としては、対象年度における総収入が10百万シンガポールドル(1シンガポールドル=80円として8億円)を超える場合には、毎年移転価格文書化資料の準備を行うことが求められるが、以下の場合には、毎年の作成は免除される。(ただし3年に1度程度のアップデートを行って税務調査で説明可能な状態にしておくことは求められる)

 

 ●関連者間取引がシンガポール国内のみであること

 ●限定列挙されているルーティーンサービスについて費用+5%のマークアップを付している場合

 ●事前確認(APA)を取得し、年次報告書を提出している

 ●国外関連者間取引が以下の基準金額を下回っている

 -棚卸資産取引が15百万シンガポールドル(1シンガポールドル=80円として12億円)

 -国外関連者への貸付又は借入金額が15百万シンガポールドル(約12億円)

 -その他の取引(サービス、ロイヤルティ、賃貸、保証料等)が百万シガポールドル(約8千万円)

 

I.マスターファイルとローカルファイル

シンガポール当局は、BEPSプロジェクトで示されたようにマスターファイルとローカルファイルとを別個の資料として採用していない。シンガポール当局が求める情報は、概ねOECDガイドラインで求められているものと同様である。2018年の移転価格ガイドラインでは、グループレベルの情報と法人レベルの情報の2層アプローチによる文書化資料が求められている。

 

II.国別報告書

  • シンガポールに本社を置き、且つ当該企業グループの連結総収入金額が1,125 million SGDを超えており、2社以上の国外関連者を有する場合は国別報告書を作成する義務がある。
  • 対象初年度:2017年
  • 期限:会計年度終了から12か月内に提出。
  • 使用言語:英語。OECD指定のXML Schemaを導入予定。
  • 代理提出:外国企業グループの代理提出は受け付けていない。
  • 罰則:国別報告書を期限内に提出しなかった場合、IRASはつぎの措置をとる。
  • ①1,000 SGD以下の罰金、②当該罰金を納めなかった場合、6か月以下の懲役、③有罪確定日から日50SGDの追加罰金。国別報告書に虚偽または誤解を招くような情報があると判断された場合、①10,000 SGD以下の罰金、②2年以下の懲役、③又はその両方。

 

④移転価格に関するその他開示義務

無し

 

⑤移転価格算定方法

独立価格比準法(CUP法)、原価基準法(CP法)、再販売価格基準法(RP法)、取引単位営業利益法(TNMM)、利益分割法。適用の優先順位は特に無く、最適な方法を選択するいわゆるベストメソッドルール。

ただし、金利取引についてはCUP法が優先適用される。

 

⑥移転価格課税の時効

2008年以降の更正期限については4年。ただし、租税回避の場合は無制限。 

文書化資料は取引を行った年度から5年間保存しておかなければならない。

 

 

⑦相互協議及びAPA

相互協議・APAについては相当の経験を有しており、二重課税の解消も可能である。

特に過去の傾向からすると、日本との相互協議については合意できる割合が高くなっている。

 

⑧使用言語

英語

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