ベトナムの移転価格税制

ベトナムの移転価格

【近年の動向】 

2005年の導入以降、移転価格課税は段階的に強化されている。20104月には新たな移転価格規則が施行され、201312月の通達(201425日施行)によりAPAに係るガイダンスが示された。また、201411日以降に終了する事業年度については新様式(旧様式Form 01/QLTに代わるForm 03-7/TNDN)の別表の提出が要求されることとなり、納税者は自ら関連者取引が独立企業間価格かどうか検証することが求められるようになっている。


 

【基本情報】

①税務当局

Ministry of Finance, General Department of Taxation (GDT)

 

②移転価格税制の課税対象

一定の形式基準及び実質基準を満たす国内外の関連者間取引

関連者の定義は多岐に渡り、例えば以下の関係がある企業は関連者とみなされる。

 

◆一方の当事者が他方の当事者の 20%以上の持分を直接又は間接に保有する関係

◆双方が、第三者の持分の 20%以上を直接又は間接に保有する関係

◆資本の 20%以上、または中長期債務の 50%以上を貸付または債務保証している関係

◆重要な人的関係、取引関係、実質的な支配関係がある関係

 

③文書化義務(マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書)

I.マスターファイル

  • 条件:売上高基準などは指定されていない。
  • 対象初年度:2017年
  • 期限:年度の税務申告期限前に準備、税務機関の要請に応じて提出。
  • 使用言語:ベトナム語。提出フォーマットに関しては、XML Schemaは採用されていない。
  • 罰則:税務行政法に従いペナルティーが算定される。罰金は追徴課税額の10%又は20%、2016年7月1日以降の遅延利息は0.03%/日(課税年度の法令に従い決定)で算定。指摘事項の背景、状況によっては、悪質な罰金として追徴課税額の100%から300%が課される可能性がある。

II.ローカルファイル

  • 対象初年度、期限、使用言語、罰則はMFと同じ。
  • 免除:下記のいずれかの条件に合致する企業はローカルファイルの作成が免除される。①年度の売上高が50 billion VND以下であり且つ、関連者間取引額が30 billion VND以下である場合、②納税者の事業活動が単純又は利益の源泉となる無形資産を所有していない且つ、年度の売上高が200 billion VND以下で且つ、卸売業の場合には営業利益率が5%以上、製造業の場合には10%以上、加工業の場合には15%以上である場合、③APAを締結しており、年次報告書を提出している場合。

III.国別報告書

  • 条件:年度の連結売上高が18,000 billion VNDを超えている多国籍企業。当該条件は外国親会社の在ベトナム子会社にも適用される。
  • 対象初年度、期限、使用言語、罰則はMFと同じ。
  • コピーの提出:海外の最終的親会社の国別報告書の提出状況に拘らず、在ベトナム子会社は国別報告書のコピーを提出する義務がある。
  • 代理提出:国別報告書の親会社代理提出は認められていない。

 

④移転価格に関する開示義務

毎年の法人税申告において、Form GCN-01/QLTという別表で関連者間取引の内容や取引金額等の開示が求められる。開示を怠った場合、税務調査に発展する可能性がある。

201411日以降に終了する事業年度についてはForm 03-7/TNDNが求められ、当該別表において、納税者は自ら関連者間取引が独立企業間価格かどうか検証することが求められ、会計上の数値と市場価格に基づき算定された数値との間に乖離が生じた場合には当該金額を申告しなければならない。

 

⑤移転価格算定方法

独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RP法)、原価基準法(CP法)、利益比準法及び利益分割法。算定方法について法的な優先順位は無いが、一般的に伝統的な取引基準法(CUP法、再販売価格基準法、原価基準法)が適用できる場合には、それらが最も直接的で信頼性の高い算定方法であると考えられる。

また、納税者は証拠文書をもって、最良の方法(いわゆるベスト・メソッド)を適用している旨を明らかにすることとされている。

 

⑥移転価格課税の時効

一般的なルール(違反が発見された日から10年間)が適用される。

 

⑦罰則等

自主調整を行った場合:90日以内に納税するときは、申告漏れ部分につき1日あたり0.05%、90日を超える場合には1日あたり0.07%の遅延利息が課される。

企業が誤った申告をした場合には、延滞利息に加え、過少申告税額の20%を上限とする罰金が課される。不正又は脱税とみなされた場合には罰金は100%~300%となる(例えば、申告が90日以上遅れた場合は脱税と見なされるほか、関連者間取引に係る別表による申告をしなかった場合や移転価格文書の準備をしなかった場合にも100%~300%の罰金の対象になる可能性がある)。

なお、20151月以降は、提出遅延に係る従来0.07%の遅延利息は、0.05%となる。

 

⑧相互協議・事前確認申請(APA)

相互協議:租税条約のネットワークはあっても、相互協議の経験はほとんど無く、二重課税の解消は困難である。 

APA :ユニラテラルAPA、二国間APA多国間APA可能。最大5年間分+最大5年間の延長が認められる。

但し、経験がつみあがるまで合意に至るには時間がかかることが予想される。

 

⑨使用言語

移転価格文書はベトナム語(他の言語で作成された文書はベトナム語に翻訳しなければならない)。

 

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