韓国の移転価格税制

韓国の移転価格税制

【近年の動向】 

韓国では、2010年に移転価格税制の改正がなされ、よりOECDガイドラインに準拠した内容となった。また、当初税務当局と関税当局との連携は無かったが、20127月から、関税上の調整を所得税に反映させるなどの処理が制度上できるようになっている。 

2014年に大幅な改正は無いが、20151月より移転価格算定方法の申告義務等に関する閾値が引き上げられるなど、事務・手続に関する数件の改正規定が施行される。

従来、2013年の法令で定められていた関連者間貸付に係る保証料の計算方法につき、新たな計算方法が導入され、遡及適用されることとなり、時効を迎えていない年度についての調査まで行われることとなった。この点については不服申立等が相次ぐなど混乱が生じたが、(当局よりの見解が有力となっているものの)係争中の部分もあるため、今後動向を見極めてゆく必要があろうと考えられる。

 

2015年度改正】  

20151215日、韓国企画財政部(MOSF)は、BEPSプロジェクト行動13を踏まえた国際取引統合報告(CRIT)を導入した。CRITは、マスターファイルとローカルファイルで構成される。500億韓国ウォン超のクロスボーダー関連者取引を行い、かつ、関連事業年度の売上高が1,000億ウォン超であるすべての(内国/外国)法人は、法人税の申告期限(事業年度終了後3か月以内)までに、所轄の税務当局に、マスターファイルとローカルファイルを提出しなければならない(CRITが適用とならなくなった法人であっても、税務当局の求めに応じて、移転価格文書の提出義務がある)。正当な理由があれば、1年を限度に延長が認められる可能性があるが、遅くとも期限の15日前までに延長申請を行わなければならない。CRITの未提出や誤った情報を提出した納税者は3千万韓国ウォンのペナルティーが課されるほか、CRITにより移転価格取決めが独立企業基準であることを示せなくなる可能性がある。この新たな要件は、201611日以後開始事業年度から適用。マスターファイルとローカルファイルの内容は、OECDBEPS行動13の最終報告書に沿ったものになると思われる。いずれも韓国語で作成しなければならない。

 

 

【基本情報】

①税務当局

National Tax Service (NTS)

 

②移転価格税制の課税の対象

50%以上の株式の直接・間接の保有関係、実質支配関係や共通利害がある国外関連者との取引。

 

③移転価格課税の時効

原則として5年間。 (繰越損失がある場合には例外規定あり)

 

④文書化義務(マスターファイル、ローカルファイル、国別報告書)

I.マスターファイル

  • 下記のいずれかの条件に合致する企業はマスターファイルを作成する義務がある。①内国法人又は韓国に恒久的施設(PE)を有している外国法人、②年度の売上高が1,000億ウォン及び関連者間取引額が500億ウォンを超えている場合。
  • 対象初年度:2016年
  • 期限:会計年度終了から12か月以内に税務機関に提出。
  • 使用言語:韓国語、英語。英語での提出も認められているが、提出1か月以内に韓国語へ翻訳した文書を提出。
  • 罰則:1,000万ウォン以下のペナルティー。税務機関が追加情報の提供を求めた場合は60日以内に提出。60日以内に提出できない場合は1億ウォン以下のペナルティーが課される。

II.ローカルファイル

  • 対象初年度、期限、罰則等はマスターファイルと同じ。
  • 使用言語:韓国語

III.国別報告書

  • 条件:年度の連結売上高が1兆ウォンを超えている多国籍企業。尚、当該条件は子会社にも適用される。
  • 対象年度:2016年
  • 期限:会計年度終了から12か月以内に税務機関に提出。
  • 使用言語:現時点では指定されていない。提出フォーマットに関しては、XML Schemaは採用されていない。
  • 代理提出:国別報告書の親会社代理提出を認めている。
  • 通知:会計年度終了から6か月以内に通知。尚、国別報告書の通知条件は、韓国法人の会計年度に適用される。
  • 罰則:国別報告書が提出されなかった場合は1,000万ウォン以下のペナルティーが課される。

  

⑤移転価格に関するその他開示義務

移転価格算定方法、国外関連取引及び国外関連者の損益の概観について、申告しなければならない。但し、移転価格算定方法と国外関連者の損益の概観については一定の要件を満たす場合申告を要しない。

 

⑥移転価格算定方法

独立価格比準法(CUP法)、原価基準法(CP法)、再販売価格基準法(RP法)、取引単位営業利益法(TNMM)、利益分割法、その他の合理的な方法が認められる。
算定方法間の優先順位は無く、最適法が適用される。

 

⑦移転価格課税の時効

原則として5年間。

無申告納税者の場合は7年間、不正がある場合は10年。

ただし、20151月以降に開始する課税年度については国際取引につき不正がある場合の時効期間は15年間に延長される。

 

⑧罰則等

NTSからの要求から60日以内(状況により60日の延長可)に資料を提出しない場合:最大1億ウォン。正当な事由なく期限内に提出しない場合には、さらに不服申立や相互協議で該当の資料が無視される可能性もある。

 

課税された場合:追徴税額の10%のペナルティー(不正の場合は40%)。また、20151月以降は国際取引につき不正がある場合のペナルティーが60%に引き上げられる。

また、大統領施行例に定める料率による延滞税が課される。

但し、以下の場合10%のペナルティーは免除される可能性がある。

 

◆証拠資料が提示され権限ある当局がそれを認めた場合

◆NTAがユニラテラルAPAを認めた場合

◆同時文書が準備・保管されており、提出要請から30日以内に提出した場合

 

⑨相互協議・事前確認申請(APA)

相互協議:経験はあり、概ね二重課税を解消することは可能である。

APA:ユニラテラルAPA、二国間(及び多国間)APAの申請が可能である。また2015年以降はユニラテラルAPAと課税価格事前審査制度(Advance Customs Valuation Arrangements)の同時申請が可能となる。

 

使用言語

マスターファイル、ローカルファイルともに韓国語で作成しなくてはならない。英語のマスターファイルも提出できるが、その後1か月以内に、韓国語訳を作成・提出しなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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