移転価格税制と寄附金課税

中小・中堅企業への課税(寄附金課税と低額譲渡 

 

 移転価格税制は、海外のグループ会社との取引に関して特別に定めたものですが、通常の法人税法の中にも、価格の操作による経済的な利益の供与を取り扱う規定として「寄附金」という概念があります。

 

 例えば、100円の価値があるものを80円で販売した場合には、差額の20円相当額の寄附をしたものとみなして所得金額を計算するというものです。特に、その価格調整が移転価格税制に従ったルールに基づくものではなく、海外子会社の財政支援等の目的による価格調整などの場合には、寄附金として認定されるケースが多くなっています。

 また、海外子会社に対する役務提供などに対する対価が取られていない又は対価が低すぎるような場合も、同様に寄附金として課税を受ける可能性があります。

 

 移転価格税制と寄附金の規定は、取引価格(対価)のゆがみを是正して所得金額を計算するという意味で重複する部分があり、その線引きについては様々な意見がありますが、その境界線はグレーなものとなっています。

 

 寄附金課税は、日本の国内法の問題であり、租税条約の取り決めを前提とする相互協議によって二重課税の解消を協議してもらうことが難しいという問題もあります。

 

参考:法人税法第三十七条 寄附金の損金不算入 

  前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

 

  内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。

 

 この寄附金課税は、グループ間取引か否か、また、国内取引か国外取引かを問わず課税できるので、国内での関連者間取引について、寄附金規定により課税が行われるケースもあります。原則としては移転価格調査・課税への対応のため国際間取引に関して適正な価格設定を行うことに注意することが必要ですが、同様に国内取引についても、寄附金課税を受けないような対応が望まれます。

 

 移転価格税制は、グループ間取引を独立企業間で成立する価格で行うことを求めるものであるため、不合理な利益供与を行うことは移転価格税制においても認められません。従って、移転価格税制に即して取引価格を行うことで、同時に寄附金課税も回避できるものと考えられます。

 

 

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