総原価基準法の適用【マークアップを付さなくてよい役務提供】

 利益を上げることを目的とする独立企業においては、役務提供を行うにあたって、原価+利潤で採算の取れる金額をクライアントに対して請求します。我々のようなコンサルティング会社や、管理部門のアウトソーシングサービスなども、当然、一定の利益を上げることを目的として、役務提供活動を行っています。しかし、役務提供活動の中には、例えば、製造設備の製造販売をする会社が、保守・点検サービスも請け負う場合など、本来業務に付随して行われるような場合もあります。このように本来業務に付随する役務提供の対価は、通常、独立企業間であれば、本来の製品の販売と付随する役務提供を一体として利益を上げることを目的としており、必ずしも付随的役務提供だけを取り出して利益を上げることを目的とはしていません。従って、一定の要件を満たす役務提供活動については、役務提供者において生じた総原価をカバーする分の対価を得ていれば問題ないとみなすことが許容されています。

 マークアップを付さなくても良いか否かの判断は、以下のフローに従って判断されることとなります。

 

 上記の判断基準の2番目の、「役務提供に要した費用が法人又は国外関連者の原価又は費用の相当部分を占めるかどうか。」というのは、あくまで付随業務であればコストカバーが許容されるというもので、費用の大部分を占めれば、それは本来業務とも考えられるため、独立企業であれば当然利益を上げるべき(すなわち、通常の原価基準法や取引単位営業利益率法が適用されるべき)と判断されます。

 また、3番目の「役務提供を行う際に無形資産をしようするかどうか。」という判断基準は、出向による技術指導等、一見役務提供のように見えて無形資産の供与を行っているような場合には、適正に無形資産の対価を回収しなければならないということです。

 

【課税リスクのポイント】

 上図の通り、まず、当該役務が、本業に付随した役務提供か否か、当該役務コストが本来業務と比較して多くの部分を占めていないかが問われることとなります。例えば、グローバルに拠点を持つ製造業者が、本社機能を持株会社等に集約し、グループ企業に役務提供を行うような場合には、当該役務提供自体はグループにとって本業ではありませんが、当該持株会社にとっては本来業務となるため、マークアップを付すべき性格の役務提供となると考えられます。このような役務提供についてマークアップを付していない場合には、その差額分が課税リスクとなります。


 また、役務提供に伴ってノウハウの提供等が行われている場合、例えば、本社から技術者を海外子会社に派遣して、日当を対価として取っているような場合には、当該役務自体には大きくマークアップを付す必要は無いかもしれませんが、そこで重要なノウハウの提供が行われていれば、ロイヤリティの形で無形資産の対価を別途回収する必要があります。特に、中小・中堅企業においては、このような無形資産の対価を取る慣習が無いケースもあり、無形資産の提供が無いか否か、また、その対価を適正に回収しているか否かは、注意する必要があります。

 

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