移転価格解説

タイの移転価格税制

近年の動向

インドネシア

(2022年11月29日更新)

2018年11月21日にThailand’s Transfer Pricing Act (TP Act)が公表された。TP Act では国外関連取引について3つの新しい規定(section 35 ter, 71 bis and 71 ter)が追加された。 この新たな移転価格に関する規定は、2019年1月1日以降に有効となる。また、タイの移転価格ガイドラインの中のDI 113において、移転価格文書化規定が設けられることとなった。

基本情報

①税務当局

Thai Revenue Department (TRD)

②OECDガイドラインとの整合性

タイはOECD加盟国ではないが、タイの移転価格税制は基本的にOECDガイドラインに準拠している。

③移転価格税制の適用対象

以下のような関係がある当事者間の取引に移転価格税制を適用することとしている。

・一方の法人が他方の法人の資本の 50%以上の株式を直接または間接に保有している場合

・二つの法人が同一の者によってそれぞれの法人の資本の50%以上の株式を直接または間接に保有される場合の当該二つの法人

・実質支配基準に該当する場合(一方の法人が他の法人と資本、経営の関係を有する場合、または支配している場合、他方の法人から独立して事業活動を行うことができない場合、同一の複数株主に保有されている法人で、当該複数株主の保有割合の合計が50%以上となる場合など)

④移転価格文書化義務

I. ローカルファイル

タイの税務調査では、移転価格文書を要求された日から60日以内に提出をしなければならない。 ただし、売上高がTHB200 million (US$6 million)を超えない場合には移転価格文書化資料の提出義務が免除される。

II. CbCR

連結総収入が280億THB超の法人 なお、マスターファイルに関する規定はない。

⑤税務当局への毎年の移転価格の開示

関連者取引がある納税者は、移転価格に関する指定のFormを会計期間終了後、150日以内に提出しなければならない。

⑥移転価格算定方法

OECDと同様(CUP法、再販売価格基準法、原価基準法、取引単位営業利益率法(TNMM)、利益分割法及びその他の方法)

⑧移転価格課税の時効

移転価格課税の更正期限に関しては原則として申告日から5年間

⑨罰則等

移転価格に関する開示フォームおよびローカルファイルに関するコンプライアンス違反あるいは申告情報の誤りについて200,00THBを上限とする罰金が課される。その他申告漏れとなった税額に対する利息が課される。

⑩相互協議・事前確認申請(APA)

相互協議:可能

APA:二国間APAが可能

⑪使用言語

2021年1月以降開始事業年度についてはローカルファイルはタイ語での提出が求められることとなった