移転価格解説

スペインの移転価格税制

近年の傾向】 (2012年5月現在)

スペインでは、2006年12月以降、移転価格文書化が求められ、移転価格に関する立証責任が納税者へと転嫁されている。

また、近年では、移転価格に関して申告書上で開示が求められるようになっている。

【基本情報】

①税務当局

Spanish Tax Agency (Agencia Estatal de Administración Tributaria – AEAT)

②移転価格税制の課税の対象

25以上の株式を保有関係にある国外関連者との取引。

その他、実質的な支配関係にあるグループ間取引。

③移転価格課税の時効

原則として4年。

④移転価格に関する開示義務

2009年2月以降においては、申告書上、以下の情報を開示しなければならない。

・国外関連者の名称

・国外関連者との資本関係

・国外関連者間取引の金額

・移転価格算定方法

*開示を怠った場合、罰金が課される。

⑤移転価格算定方法

独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RP法)、原価基準法(CP法)、

利益分割法(比較利益分割法、寄与度利益分割法、残余利益分割法)

取引単位営業利益率法

ベストメソッドルールの適用は無く、基本三法(CUP法、RP法、CP法)が優先適用される。

利益法はラストリゾート(基本三法が適用できない場合に使用)とされている。

⑥移転価格課税に係るペナルティー

2009年2月まで特段のペナルティーは無く、2009年2月以降、移転価格課税について50%~150%のペナルティーを課すことができるようになった。

ただし、文書化がされていれば、2009年2月以降についてもペナルティーを課されることはほとんど無い。

⑦比較対象会社の選定

スペインの税務当局は、過去においてはスペイン企業を比較対象とすることを求めていたが、近年では、特に新しい産業についてはヨーロッパを対象として選定することが認められる。

データベースとしては、Amadeus(欧州用)が使用される傾向にある。

⑧関税当局との関係

税務当局と関税当局との関係は希薄であるが、近年では関係強化を目指している。

⑨相互協議及びAPA

スペインの税務当局は相互協議の経験はあり、概ね合意に至っている。

また、APAについてはバイラテラル(二国間)APA、マルチラテラル(多国間)APA、ユニラテラルAPA共に可能。

⑨使用言語

スペイン語