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米国がAPA・MAP事案における所得調整の方針を変更

米国当局(IRS)の事前確認・相互協議プログラム(APMA)が、いわゆる”テレスコーピング”を制限する方針を公表しました。

“テレスコーピング”とは、事前確認(APA)や相互協議(MAP)における協議結果を受けて所得を調整する際に、事務手続きの簡便化等を目的として調整対象年度とは異なる課税年度に当該調整額を反映することを言います。

米国では2017年に大幅な法人税率の引き下げを行っていますので、実際の調整をこの改正の前後いずれのタイミングで行うかによって、納税者の追加納税額や還付額に影響がでてきます。そのため、上記の方針変更に至りました。

具体的な変更内容は以下の3点です。

  • 納税者は原則IRSが指定する年度の修正申告を実施
  • 2017年12月31日以前に開始する複数事業年度が事案の対象となっている場合、納税者はその最終年度に必要な調整を一括して行うことをリクエストできる
  • 課税所得の調整額が1,000万ドル以下の場合には、IRSの裁量で太陽機関の最終年度又はそれ以降の課税年度に調整を行うことが認められる。なお、IRSはこの取り扱いを認めるかどうかの決定に当たり、税額得ほ影響や事務負担等を総合的に考慮する。

今回の変更はリーズナブルな変更のように思います。IRSはこのように状況に応じて指針を変えるので、やはり最新の指針を把握し、タイムリーに対処しておくことが重要であると言えます。

税務弘報2021年1月号に代表の記事が掲載

同誌の人気企画『続 税務調査之心得50』に近年の課税動向

弊所代表の記事が2020年12月4日発売の税務弘報2021年1月号(VOL.69/NO.1)に掲載されました。

同誌の人気企画『税務調査之心得50』の続編への寄稿ですが、その中で近年の課税動向や、税務調査の事前準備や調査対応上のポイント等について解説しています。詳しくは本誌をご参照下さい。

(2020年12月4日)

タイが移転価格に関する追加規定を導入

対象取引や優先適用される移転価格算定方法等が明確化されました

タイ国政府は2020年11月6日付で省令(Ministerial Regulation)No. 369を公表しました。

同国における移転価格税制の歴史はそれなりにあるものの、日米欧などの先進国に比べると、規定の整備は発展途上段階の部分もあるなか、今回の追加規定の導入で同国税務当局の考え方がより明確になったと言えます。新規定の具体的なポイントとしては以下のような点が挙げられます。

  • 関連者が広く定義された
  • 通常の商取引(棚卸資産取引等)のほか、金融取引も移転価格税制の対象となることが明確化された
  • 調査対象となる取引の明確化(≒独立企業原則の考え方が適用される旨の明確化)
    • 非関連者との取引と異なる条件で取引されている関連者間取引 
  • 課税方針の明確化
    • 関連者間取引と同様の非関連者との取引における価格を課税の基準として優先的に参照する
    • 上記取引がない場合には、国外の非関連者間取引を比較対象取引を課税の基準として参照できる

(2020年12月3日)